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 雨の日と、犬

あれは高校の頃だった。
雨が降った帰り道、その日はたまたま歩いていた。
林沿いの道を歩いていると、どこからか
「きゅーん、きゅーん」
と、か細い鳴き声がする。
一度は立ち止まったものの、気のせいかとまた歩きだそうとすると、
「きゅーん」
とやっぱり、鳴き声がする。
声からすると、かなり弱っている。
どこからだろう? と辺りを見回すと、車道の端にごみ捨て場が。
おそるおそる、探してみる。
すると1つのビニール袋から、犬が顔を出していた。
「まさか事故にあって、そのまま捨てられているんじゃ.....」
さらにおそるおそる、ビニールを破いてみると。
よかった。五体満足な黒っぽい犬が、一匹出てきた。

だいぶ弱っていたので、連れて帰ることにした。
でも。マンションのうちでは飼ってあげることができない。
それでも、誰か飼ってくれる人が見つかるまでは、と思った。

震える子犬を抱えて連れて帰りながら、こんな状態で、こんなところに、子犬を捨てた人に腹が立っていた。
もし。子犬が私に見つけられなかったら?
もし。ビニール袋で窒息してしまっていたら?
もし。ビニールから出ようと、車道に転げ出てしまったら?
もし。そのままひかれてしまったら?
とても悲しくなってしまった。
動物−生き物として飼っている以上は、子供が産まれるという事もわかって飼っているはず。
犬を飼いたくても飼えない私にとって、すごく悲しいことだった。

家に帰ると、案の定、母親にちょっと嫌な顔をされた。
それでも、子犬をお風呂に入れてくれ、ミルクを飲ませてくれる。
そのあとのこともちょっともめたけど、母親が職場で飼ってくれる人がいないか捜してくれることになった。
夜は私の部屋の段ボールの中で眠る。
早く飼ってくれる人が見つかるといいんだけど.....


2日後、子犬は無事に引き取られていった。
犬の里親さがしに奔走してくれた母親には、心の中で感謝をした。
2ヶ月後、少し大きくなったあの犬の写真を見せてもらったきりだけど。
きっとあの犬は、今でも引き取られた家で幸せに暮らしているはず........

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